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法隆寺の謎を解く

法隆寺の謎を解く 人気ランキング : 18435位
定価 : \861
販売元 : 筑摩書房
発売日 : 2006/06/01
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : \861

『法隆寺の謎』に迫る良質な論考

現在、目にする法隆寺は聖徳太子創建のものではなく、再建(新創建)されたものであることは昭和14年の発掘調査の結果から明らかになっている。新創建の法隆寺がいつ、誰により何の目的で建てられたのか? 日本書紀は黙して語らず、ここに様々な仮説が立てられている。武澤氏は建築学の専門家であり、最近明らかになった法隆寺の五重塔と金堂の建設木材伐採年のデータなどを駆使して伽藍造営の経緯を明らかにしていく。
そして嘗て「怨霊説」の根拠とされた中門の真ん中に立つ柱について別の合理的な解釈の可能性を示す。さらには我が国の中央集権国家建設のなかでの仏教文化受容の面にまで進む。これで『法隆寺の謎』が全て解決されたわけではなく、謎がさらなる謎を呼ぶ面もあるが、知的好奇心を刺激する良質な論考である。文章はよく練れていて読みやすい。
法隆寺、そして日本史のなかで特にダイナミックなこの時代に関心のある人に是非お薦めしたい。

建築家の感性で謎に迫る

本書の著者は歴史家でなく建築家である。さらに、仏教のふるさと・インドを何度も訪れ宗教建築を踏査している。そうしたことを通して培われた著者の感性を土台にして法隆寺の謎に迫っていることが、本書の特徴である。門の中央の柱、伽藍配置、創建法隆寺と新生法隆寺の関係、などの謎へのアプローチは、まさにこの著者ならではと言えるだろう。だからと言って資料をおろそかにしているわけではない。当時の資料を読みこなしつつ、それらで足りない部分を建築家の感性で補っているのだが、これは下手な歴史家の屁理屈よりも大きな説得力を持っている。

まわれまわれまわれ

法隆寺の門のど真ん中に柱がある。なんで?
このあまりにキャッチーな問いに一説を投じている。

たまに「筆が滑ってんじゃないのか」と指摘したくなるような推理の飛躍もあるが、まぁ、読み物としておもしろいし、証拠の少なさは他の説も変わらんのでオッケー。

不満なのは、図や絵、写真が少なくて、文章の内容がいまいち映像化しにくいこと。でも、これ読んで法隆寺に行って見る人、多いだろうなー。

画期的な発見! 法隆寺は最適の著者を得ました

平易な語り口でありながら、新書とは思えないほど中身のある本と思います。以下、評価のポイントを挙げます。

1)まず、中門の真ん中に立つ柱にまつわる法隆寺最大の謎を、インドの仏教建築から解いたこと。これは“コロンブスの卵”というべき画期的な発見です。

2)近年明らかになった使用木材の伐採年に関する科学的データを踏まえた本であること。これにより、従来説より信頼度がグンと増しています。法隆寺再建にかかわる問題をバランスよく総合的に整理した上で、大胆かつ説得力ある見解が打ち出されています。

3)著者は建築家です。現存する建築物や仏像から、これだけのことが言えるのかという驚きがあります。考えてみれば、地上に建っている建築物は、地面下の考古学的資料よりはるかに情報量が多いわけです。法隆寺が現存最古とは、同時代の建築物がみな残っていないということ。法隆寺ならではの条件を著者は最大限活かし、建築デザインの目から謎を解いてゆきます。

4)単なる謎解きにとどまらず、法隆寺の伽藍配置が日本列島特有の美意識の発露であることを具体的にわかりやすく説いています。岡倉天心や和辻哲郎の良き伝統が現代に蘇ったかのようです。

10年に一度の本

法隆寺というと梅原猛氏による怨霊封じ込め説が知られているが、それは門の真ん中に立つ柱の役割を誤認しており、全く根拠にならないと建築家である著者はいう。その謎を解く鍵を、著者自ら調査したインド仏教建築のなかに見出したのは画期的なことと思われる(『ダ・ヴィンチ・コード』の上をゆく?!)。
また木材の伐採年に関する最新データから、法隆寺の再建(著者によれば“新創建”)年代が絞り込まれ、ここからも梅原説が成り立たないことが合点される。

といって、梅原説はこの本にとって通過点にすぎない。
この本の本領は、今ある法隆寺は聖徳太子によって創建された寺が単に再建されたのではなく、性格を全くかえて“新創建”されたとする、目からウロコの法隆寺像が具体的な根拠とデータをもって分かりやすく、かつ説得力十分に提示されたことにある。
聖徳太子創建の法隆寺との断絶の末に“新創建”された法隆寺とはいかなるものであったのか、それは本書を読んでいただくしかないが、法隆寺の本来の姿が建築家の眼力によって発掘されたことには心動かされるものがある。やはり10年にわたるインドでの仏教建築踏査、そして建築家としての豊富な設計経験なしには、法隆寺の謎をここまで解くことはできなかったであろう。
法隆寺と異能の建築家との稀有な出会いにより生み出された10年に一度の書。文章も読みやすくイメージゆたか。心ある読者により永く読み継がれてゆくにちがいない。

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